八百長のニュースに思うこと/The King's Speechを見て来た

日本では八百長の話が盛り上がっているらしいが、大相撲がスポーツ(八百長無しの真剣勝負)であるべきかどうかは各人の価値観の問題なので、一概に八百長を否定できるとは思わない。私は千代の富士の時代から貴乃花の時代、そして朝青龍・白鵬の時代まで相撲をとても楽しんて見ていた。そこにもし八百長があったとしても、強い横綱は実力がありそうに見えたし、まあいいかと思っている(でもやっぱり、貴乃花だけは八百長がなかったと信じたいが)。もちろん真剣勝負になればそれはそれで楽しさがあるが、少なくともいまの年六場所体制は絶対に無理だと思う、けが人続出で持たないでしょう。


それより、今回の騒ぎで問題だと思っているのは次の2点。

  • 今回八百長とされている行為は、それ単体では(賭博などと絡んでいない限りにおいて)刑事罰にはならないと認識しているが、その一方で発端となったメールは、警察が野球賭博事件の捜査の過程で入手したものとされている。このような、私的な通信の内容であるメールを、事件と関係の無い部分について公開することの方が、よほど法的にはグレーな行為なのではないか?警察は何の権利があってこの情報をリークしているのか?
  • マスコミがこぞって八百長行為を非難しているが、彼らは相撲協会を批判することができるのだろうか?大相撲の話は極論すれば一公益法人の興行の在り方についての話だから、その公益性について審査すれば足りるものだが、マスコミは電波利用における許認可や新聞の再販制度などという独占・寡占的な特権を享受している傍ら、排他的な記者クラブ制度によって独占的に供給される政府側の情報を基にして、手心を加えて政府を批判するというなあなあな関係を築いている。それこそ、真実の追究と客観的報道というジャーナリズムが本来果たすべき役割(その対価として特権的地位があるはず)を果たしていない、悪質な八百長なのでは…?

ちなみに、イギリスでも最近、パキスタンのクリケット選手が試合の際のプレーに関して金銭の授受を行っていたことが問題になっているらしい。どこの国でも、こういうことは常に問題にされるものだなあ。

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八百長の話ばかり書いても気が滅入るので、もっと楽しい話を。
数日前に、アカデミー賞に12部門でノミネートされたことで最近話題になっている、The King's Speech(日本名「英国王のスピーチ」)を見て来た。もちろんイギリスで見るには字幕など無いので、内容が理解できるか不安だったが、せっかくの機会だしいい勉強になるのではと思い、初めてイギリスの映画館に行ってみた。

映画の内容については日本公開前なので触れないが、とても素晴らしかったとの一言に尽きる。是非とももう一回、映画館で見たいと思った。出ている皆さんの演技が素晴らしいからだと思うが、台詞が6割程度しか聞き取れなくてもすごく感情移入できたし、英国王室の位置づけが日本での皇室の位置づけと似ていることも、理解を容易にした一因だったのかもしれない。
もしイギリスに住んでいてでまだご覧になっていない方がいれば、映画館に足を運ばれることを是非お勧めする。

今回判明したことは、英語力が十分でなくとも映画が娯楽として機能する、ということ。今後は積極的に映画館に行って、色々と楽しむことにしよう。ちなみに、早速原作らしき書籍を入手して読んでいるが、読むとなるとやはり英語が苦痛になる…

<あと、気づきの点>

  • 日本より安い。ネットで前売り券を買ったが、大人一人当たり6ポンド(=約800円)。何でこんなに安くできるのだろうか。
  • 映画本編が始まる前のCMが日本よりさらに長い。また、その内容が日本と異なり、他の映画の宣伝もあるがそれよりも、自動車の宣伝(ドイツ車が中心、トヨタも一度流れた)やTV会社・番組の宣伝がとても多かった。
  • 映画館の建物自体の入口が直前にならないと開かない。おそらく日本と違って、いつも空いているといろんな治安にかかわる問題が起こるからではと予想しているが、どうなのだろうか。


映画館の入口。地下にスクリーンが二つ設置されている。地上の建築物はこの入口だけ。